「ベント研究会」設立
わが国で射出成形機が普及し始めたのは1950年頃、当時はプランジャー式が主流でありました。
その後原料の種類が急拡大、またプラスチック製品も多種多様になり、インラインスクリュ式が開発され、今日ではこれが主流となっていることは大方の知るとおりです。
その後相次ぐ複合樹脂や要乾燥樹脂の登場から、予備乾燥の必要のない<ベント式>射出成形機が開発され、機械メーカーにおいてもベント式の普及に力を注ぎましたが、このベント式は大きく成長せず、徐々に姿を消し今日の成形現場は<ベント式成形機を知らない世代>が中心になってしまっております。
そのベント式とは、<ベント部>と呼ばれる部分を溶融した樹脂が通過する際に、大気への抜き口となる<ベント孔>を通じて発生した水分・ガス等を排出することが出来るという構造のことを総称します。
上記の効果によりベント式射出成形機は要乾燥樹脂の乾燥工程の省略やガスによる成形不良の発生改善に大いに役立ちました。しかしながら、普及せずに衰退していってしまったことには、どのような要因があったのでしょうか。
ここではその要因を考察し、現在の射出成形業界に新技術として産学連携して研究、普及を目指すこととしてこの度「ベント研究会」を新体制にて発足する運びとなりました。
また、本研究会では「ベント式射出成形」の優位性を前提とした基礎的な研究を、応用面で実際に活かすことを目的とし、企業の皆様と研究者が連携をとって活動を行います。
従いまして、企業の皆様のご提言は、研究を進める上で重要な要素となります。企業の皆様の積極的なご参加をお待ちしておりますとともに、皆様が本研究会を活用されて、益々発展されることを期待しております。